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障害のある人の生活や仕事について考えてみよう〜湖東地域ワークショップ「誰もが暮らしやすい福祉しがづくり」~

  • 西河 亜紀糸賀一雄生誕100年記念事業実行委員会事務局員(滋賀県社会福祉協議会)
障害のある人の生活や仕事について考えてみよう〜湖東地域ワークショップ「誰もが暮らしやすい福祉しがづくり」〜

平成25年11月10日(日)、彦根市、愛荘町、豊郷町、甲良町、多賀町、湖東地域障害者自立支援協議会、医療福祉を推進する湖東地域協議会の協力のもと、愛荘町のハーティセンター秦荘において湖東地域ワークショップが開催されました。約150名の方が参加され、充実した意見交換が行われました。その様子をご紹介します!

講演「私の地域での暮らし」

13時30分に開会し、障害のある人の生活や就労支援にかかわっているCIL湖北代表の佐野武和(さの たけかず)さんによる講演がスタート。

今回は、“地域での暮らし”を想像してもらいたい、と、日常で起こるいろんな場面でのエピソードを、時間いっぱい、笑いも交えながら楽しくお話いただきました。「障害者を差別するというのは、態度に見えることだけではなく、必要な配慮がないことも差別。社会参加のスタートラインをみな平等にするという、合理的配慮義務が欠如しているということ。違いをみんなが認め合い、共に学び、一緒に笑って、悩むことが大切だと思っています」と伝えてくださいました。

「ぽてとファーム」(現在の長浜市)を建てる時には、様々な葛藤もあったということですが、「障害者が住宅街、まちの中にいることが大事。地域に貢献したい」という思いで始められ、除雪作業で地域からお礼をされた時には「地域に自分たちが根を張りかけた、地域で生きていると実感した瞬間でした」と涙ぐんで話されたのが印象的でした。

佐野武和さん佐野武和さん

そして、なんとミュージシャンを目指しているという佐野さんから、素敵な歌のプレゼント。高石ともやさん作詞作曲の「街」という歌を、佐野さんアレンジで会場のみんなで歌いました。

また、講演の最後には、甲良養護学校でフラワーアレジメントを教えておられる方の手作りの花束を、城陽小学校4年生の藤野有純さんから贈られました。

展示コーナー

展示コーナー

展示コーナーには、糸賀一雄氏の功績をまとめた写真パネルや、藤野有純さんの夏休みの自由研究「だれもが暮らしやすいと言える町をつくろう」の作品が展示されました。

ワークショップ

休憩をはさみ、4つのグループに分かれて、様々なテーマで熱い議論が交わされました。

グループ1「災害、その時、障害のある人は…」

グループ1「災害、その時、障害のある人は…」
コーディネーター:廣田佑一郎さん(豊郷町)

障害者は、自ら助けを求めることができにくかったり、まわりからの情報が入ってきにくかったりと、災害時には日常よりもさらに助けが必要となります。実際に、「テレビやラジオの情報が聞こえなくて不安」「声が出せないので笛を持っておくとよいと聞いた」など具体的な話が出ていました。お互いが助けを求め合えるように、地域で身近な付き合いをしておくこと、いざという時にどう情報を届けるかなど、日頃からの地域での備えが大切だということを再確認しました。

グル―プ2「バリアフリーについて考えてみよう!」

グル―プ2「バリアフリーについて考えてみよう!」
コーディネーター:木村和弘さん(彦根市)

“バリアフリー”の言葉のイメージを出し合い、日常の場面で「どうしたらみんなが使いやすくなるか」を考えました。市役所などの受付の場面、家の玄関、自販機など、配慮が必要な場面はたくさんあります。受付の場面では、車いす利用者のことを考えてカウンターの高さや奥行きを工夫する、同時筆記を映し出す掲示版をつくる、などの意見が出ていました。こうした日常の気づきを増やしていくことで、心のバリアフリーにもつながります。

グループ3「働く喜びや悩みを語り合おう」

グループ3「働く喜びや悩みを語り合おう」
コーディネーター:西尾知子さん(彦根市)

実際に働く人たちが集まり、仕事をしていてよかったことや悩みを出し合いました。「たくさんの人と出会えることが嬉しい」「仕事を任されるようになった」などやりがいを感じる一方、「仕事でつまずいても障害を理由にはできない」など悩みもあります。そんな時には、まわりの人とコミュニケーションをとり、友達や家族、時には地域の民生委員にも相談できる環境があることで、目標をもって頑張れる、という話が出ていました。「こうした場に雇用する側の立場の人にも参加してもらい、もっと理解を拡げていけたら」と話されていました。

グループ4「障害のある人にとって、いやだなぁ~と感じる事を考えてみよう!」

グループ4「障害のある人にとって、いやだなぁ~と感じる事を考えてみよう!」
コーディネーター:石澤英明さん(愛荘町)

車いす利用者からは、「店員さんが、自分ではなくヘルパーや介助者の方に話しかける。自分に聞いて欲しい」という話も出て、“笑顔で会話をする”という当たり前のことを大切にできる地域をつくっていきたいと、議論がまとめられました。また、子どものときから教育の中で意識していくことが大事で、地道でも、継続して伝えていきたいと話されていました。

ワークショップのまとめ(全体会)

ワークショップのまとめ(全体会)

1日のまとめとして、もう一度ホールに集まって各グループの報告がありました。また、CILだんない事務局長の頼尊恒信(よりたか つねのぶ)さんから、「福祉のことをみんなで考える、こういう時間があることが大事。社会では、エレベーターが節電の材料になるなど、まだまだ“権利擁護”の視点が抜けているのではと思う。障害者の権利擁護という視座を大事に、みんなで手を合わせてやっていきましょう」とメッセージをいただきました。

最後に、はじめに講演いただいた佐野さんから、「障害の世界は、関われば関わるほど深い。人間の根源的な感激を呼び起こしてくれる。今日ここに集まった方々にエールを送りたい」とメッセージをいただきました。佐野さんも話されていたように、今日11月10日を新たなスタートとする気持ちで、もっと地域の人と話し合う場をつくり、みんなで力を合わせてやっていこうという参加者の決意が感じられる1日でした。