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第16回(平成25年度)甲賀地域の障がい者福祉を考えるつどい ~誰もが暮らしやすい福祉しがづくり」をめざして~(甲賀圏域ワークショップ)

  • 奥山 光一糸賀一雄生誕100年記念事業実行委員会事務局員(滋賀県健康福祉部障害福祉課)
第16回(平成25年度)甲賀地域の障がい者福祉を考えるつどい ~誰もが暮らしやすい福祉しがづくり」をめざして~(甲賀圏域ワークショップ)

2013年12月1日(日)、サントピア水口共同福祉施設(甲賀市水口町北内貴1-2)において甲賀圏域ワークショップが開催されました。このワークショップは、甲賀地域障害児・者サービス調整会議が毎年開催している「甲賀地域障がい者福祉を考えるつどい」とタイアップして開催され、一般参加者のほか、圏域の施設、関係団体、行政など約90名が参加されました。

講演会

主催者あいさつのあと、「地域社会における障がい理解・障がいのある人の就労」をテーマに、社会福祉法人プロップ・ステーション理事長 竹中ナミさんが講演を行いました。

竹中ナミさんは、兵庫県神戸市生まれ。重症心身障がいの長女を授かったことから、独学で障がい児医療・福祉・教育を学び、1991年草の根グループとしてプロップ・ステーションを発足。98年に社会福祉法人の認可を受け、理事長に就任。ICT(情報通信技術)を駆使して障がい者の自立と社会参画、とりわけ就労を促進する活動を続けておられます。

竹中ナミさんのお話は、23年前にグループを立ち上げた時のお話から始まりました。重度の障がいのある人たちから、「ずっと助けられる一生というのはとても苦しい。人のために何かをしたい。人に期待されたい。人から喜ばれる生き方をしたい。その一つが働くということだ。」という話を聞き、人を支える側として生きていくことは、人間としての誇りを取り戻すことなんだと思ったとおっしゃっていました。

現実に会社に行けない彼らが働くには、どうすればいいか。人が会社に通うのではなく、自分のベッドの上に仕事を引き寄せればいい。それを可能にするのがコンピュータだという発想から、ICTを駆使した就労支援が始まりました。

当時は、パソコンはなく、コンピュータといえば大型のものだけ、今のように高機能化、小型化が進むとは誰も想像できなかった時代に、コンピュータを使ってベッドの上で仕事をするというのは常識を超えた発想だったようです。

竹中さんは、「常識は常識ではなく、変えられる。それを変える力は一人ひとりの中にある。○○してあげるという福祉は障害者の気持ちに蓋をしている。弱者に何かを与えることが福祉ではなく、弱者を弱者でなくすることが福祉ではないか。」「重度障害者が働くことは無理という意識、会社に通うことが働くことという前提を捨てて、障害者自身の状況にあわせて働く環境を整えていくことが大切であり、その結果、絶対無理といわれている人が、働くことができるようになるとしたら、それは障害者本人にとってだけでなく、すべての人にとって、より良い生き方、働き方の提案になる。」と力強く語っておられました。

「障害者を意味する英語のChallenged(チャレンジド)には、挑戦する使命や課題を与えられた人たちという意味がある。すべての人間には課題に向き合う力が与えられている。」という竹中さんの言葉に自分自身の生き方を深く考えさせられました。

グループ別懇談会

講演会の後、6つのグループに分かれて、「地域社会における障がい理解」や「障がいのある人の就労の現状と課題」をテーマに意見交換が行われました。

私が取材させていただいたグループでは、障がい者本人、地域の民生委員、元教師、ガイドヘルパー、障がいのあるお子さんの保護者などが参加され、それぞれの立場からの意見が出されていました。

  • 一人として同じ人はいない。違いを認める社会を目指してくべきである。
  • 生活の中で障がい者と関わったことがない子どもは、障がい者を目の前にするとどうしたらいいかわからない。子どものころから障がいのある人とふれ合う機会が必要ではないか。頭で理解をさせるのではなく、体験を通じて理解させることが大切。
  • 障害のある人に対する地域の理解は、少しずつ広がってきている。何かの縁で集まって顔見知りになっていくことが大切。
  • 余暇支援は障害程度区分に関係なく利用できるといい。生きていくことに区分はない。
  • 学校に通っているときは、講演会などの情報がたくさん得られたが、作業所に行くようになってから情報があまり来なくなった。利用者や保護者に対する情報発信が少ないように思う。
  • 保育所には障害児加配があるが、小学校に行くと特別な対応がない。進学に不安が付きまとう。

限られた時間の中での意見交換でしたので、意見集約や何らかの結論を出すまでには至りませんでしたが、誰もが暮らしやすい共生社会の実現に向けての事例集めや個々人が考えるきっかけにはなったと思います。

障がいのある人、ない人が、それぞれに感じていることや思っていることをお互いに知ることが、共生社会に近づく第一歩であり、「誰もが暮らしやすい福祉しがづくり」を進めるうえで、地域の中で多様な立場の人が参加し、意見交換できる場を設けていくことは大切だと思いました。こうした取り組みが、地域の中で継続的に行われていくことを期待したいと思います。