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わたしにとっての“福祉”的な本 ~高田和さんの場合~

  • 高田 和滋賀県発達障害者支援センター
わたしにとっての“福祉”的な本 ~高田和さんの場合~

糸賀一雄さんの思想や活動から感じられる“福祉”の広がり。このコラムでは、本事業に関わる様々な立場の方々が、書籍の紹介を通じてこれからの福祉のあり方を語っていただきます。第2回は、滋賀県発達障害者支援センター 職員の高田和(たかだ・のどか)さんです。

僕らは語り合った−障害福祉の未来を(著:北岡賢剛、福岡寿、曽根直樹、根来正博)

私が今回紹介したい書籍は『僕らは語り合った―障害福祉の未来を』である。

この本と出会った場所は、在籍していた大学の図書館である。「障害者福祉」という棚にはあまりない赤色の本で、タイトルにも何か明るいものがあり、偶然手に取った記憶がある。

障害福祉の現場で実践をされる4人の方が対談を行ったものが本になっているのだが、生きている言葉というか、大学の授業や施設現場での実習では聞けなかった言葉がたくさんそこにはあったと思う。現場での実践があるから話される言葉である以上に、消耗する現実や、あるいは福祉の現場に楽しさを求めていることが本音で書かれているから、生きている言葉なのだと私は感じる。「何か話しにくい」、「話してはいけないテーマが福祉の現場にはあるのかもしれない」と思っていた当時の学生の私にとって、この本との出会いが自分の世界を変えた瞬間であった。「人と向き合うときにはエネルギーがいる」という事実を言葉にしてみることは大変なことである。しかしその状況を嘆くのとは異なり、明らかにすることで自分の世界が広がる、何か新しい方法が見つかる。このことは私にとっての発見であった。

それに、この本には所々に若い世代への期待が込められている。障害福祉の制度が整った後に、「君たち若者は何をする?」と問いが投げかけられる。誰かに与えられるのではなく、次の世代自身で見つけていく。その上で、これからも大切にしていきたいことがここにはたくさん書かれている。例えば私は、「制度がなくても楽しく生きていく方法」や「障害のある人といい関係になること」について考えていきたいし、そのことは福祉の現場にいる人だけでなく、障害のあるあの人が暮らす街の人と共に知恵を出し合うことができる方が良いのだと思う。そうなった時に福祉の現場で働く若い世代に必要なことの一つは、その人の暮らしたい形を理解し、難しい言葉ではなくわかりやすい表現で通訳することではないだろうか。障害のある方との出会いがより多くの人によって生きやすい社会をつくるきっかけになり、その間に存在できる立場であることはこの仕事の大変な魅力である。

ぜひ、学生の方や若い世代の方に読んでいただきたい一冊である。新しい発見や若い世代へのメッセージを多くの人に感じて欲しいと思う。

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画像提供:ぶどう社