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「誰もが暮らしやすい福祉しがづくり研究」湖北圏域ワークショップ

  • 大平 眞太郎滋賀県社会福祉事業団企画事業部 主任自立生活支援員

平成25年11月9日(土)、長浜市港町にある勤労福祉会館「臨湖」において、「語り合おう、私が感じた生きにくさ、暮らしにくさ、働きにくさ」をテーマに湖北圏域ワークショップが開催されました。

湖北圏域ではワークショップに先だって、上記のテーマについてのアンケートを手をつなぐ育成会湖北支部と社会福祉法人おおぞら福祉会つつじ作業所が中心となり実施されました。それを受けて10月19日にも「障害者差別禁止条例」作成に関するプレワークショップが開催されました。

開会宣言・趣旨説明

この日はNPO法人CILだんないの美濃部氏により開会が宣言され、湖北地域障害者自立支援協議会伊吹会長よりワークショップの趣旨が以下のように説明されました。

「平成24年10月に県内の障害当事者三団体から差別禁止条例制定について滋賀県知事に要望が行われ、条例制定には広く県民からの意見を要約することが必要とのことから今回のワークショップに繋がった。障害者だけでなく様々な暮らしにくさを持っている人にとって暮らしやすいまちづくり、ユニバーサルデザインを進めていく必要がある。都市部では徐々によい環境作りがされているが、湖北のような山間部ではまだまだ進んでいない。滋賀県の障害者プランにおいても共生社会の実現に向けて取り組んでいるが、実社会においてはまだまだ生活のし辛さがある。障害者問題は基本的には人権の問題であり、人権の格差を解消することが大切。本日のワークショップでは参加者の声を集めることが目的、理想の地域に対する夢や希望もだしていただきたい」。

進行方法について

続いてワークショップの進行についてCIL湖北の佐野氏より以下のような説明がありました。

「障害者福祉施策に当事者の意見を反映するため、多くの事例を集める必要がある」。
「『当事者抜きに当事者のことを決めないで』が基本となる、制度や条例をつくる時には障害者の生の声を反映させることが大切。そのため、グループワークは当事者が進行を行う。「暮らす・学ぶ・働く・知る」の四つをテーマとして各グループで意見集約していただききたい。グループワークでの約束ごととして、人の発言に対して説教・意見はしない。誰もが安心して発言できる雰囲気をつくってほしい」。

その後、四つのグループに分かれての意見交換が90分間行われました。

 

発表

各グループから「暮らす・学ぶ・働く・知る」のテーマごとに出された意見が報告されました。グループごとの発表でしたが、いかにはテーマごとに意見をまとめて報告します。

「暮らす」

  • 部屋を借りるときに借りにくい、スロープ等もない住宅が多い。
  • 障害者トイレが物置になっていたり、使いにくいトイレも多い。
  • 信号が短くて渡りきれないことがある。
  • 外出手段がない。(公共交通機関が少ない)
  • エレベーターがない駅がある。
  • セルフサービスのガソリンスタンドが多くなり給油しにくい。
  • 車いす席は限定されている。(映画館等)
  • ユニバーサルデザインはまだまだ浸透していない。
  • バリアフリーになっていない場所が多く、車いすでの移動が困難な社会。
  • レストラン、ショッピングの際の店員の対応に差別を感じる。
  • 介助者でなく本人の意志を確認してほしい。
  • 親が亡くなった後が心配。
  • 友人との食事で食事代を払おうとしても障害者ということで受け取ってもらえない。

「働く」

  • アルバイトの体験ができない。
  • 安定して続けられる仕事がない。
  • 職場で意見が言いにくい。
  • コミュニケーションの問題で採用されない。
  • 職場になじめない雰囲気がある。
  • 企業ではたらくことに差別的対応がある。
  • (就労支援A型事業所で就労しているが)仕事があるときと無いときの差が激しい。
  • 企業のコストダウンのために解雇された。
  • 健常者と同じ仕事をしているのに給与差がある。
  • 安全性重視から障害者の意志が無視される。
  • 障害のために採用試験まで行き着かないことがある。
  • 障害者雇用が浸透していない。

「学ぶ」

  • 理由をつけて入学を断られた。
  • 学校で、友達ができにくい、いじめにあったこともある。
  • 養護学校が整備されていない時代は学校にも通えず、家にいるしかなかった。
  • 進路指導が適切でない、本人の意向が繁栄されていない。
  • みんなに慣れてほしい、一緒に活動したい。
  • 普通高校に行きたかったが養護学校に行かされた。
  • 学習よりリハビリテーションを優先された。
  • 学校における人権教育が大切(こどものうちから人権教育を)。
  • 障害のある子どもとない子どもで、学ぶ場所が違うのでお互いが理解できにくい環境になっている。

「知る」

  • 生活の幅が少なく毎日同じ生活の繰り返し、もっといろんな経験がしたいが出きない環境下にある。
  • 情報に支援者のフィルターがかかる。
  • 障害者が発言できる機会を作ってほしい。
  • 情報が届かない、聞くといやな顔をされる。
  • 守秘義務の不適切な運用が本当に必要な情報も知ることが出来ない状況を作っている。
  • 説明無く入所施設にいれられた。
  • 情報の格差を感じる。

まとめ

最後に、佐野氏よりワークショップのまとめがありました。

「互いの意見を出し合うことの大切さを今回のような機会に気づくことができたのではないか。この場にこられていない障害当事者の声をもっと聞いていく必要がある」。
「今回のワークショップを最後せず、今後も障害のある人とない人が語り合う場を設けていく必要がある。今後については自立支援協議会で次回の企画を考えいきたい。湖北圏域としては障害者差別禁止条例づくりに向けた取り組みを続けていきたい」。

湖北圏域のワークショップでは障害のある当事者やその家族が参加者全体の半数近くを占めていました。また、圏域内に2カ所ある自立生活センターもあり、当事者からの意見がたくさん出された活発なワークショップとなりました。